2019年産小麦の栽培レポートをお届けします。
村山うどんの会では会の設立より13年間、「小麦増産プロジェクト」と銘打ち、武蔵村山産小麦の増産を目指した活動を続けています。
今年は過去最大となる5反を作付けし、予定通りの収量が採れれば、会創設からの悲願であった「会員店による通年での武蔵村山産小麦配合うどんの提供」が実現します。
村山うどんの会の活動を支え続けてくださっている石川園農園主の石川さんと、今や村山うどんの会の小麦栽培になくてはならない石川さんの右腕、小麦増産プロジェクトリーダーが中心となって農作業に取り組み、会員店による援農会や会員を交えた季節イベントなども交えつつ小麦作りの様子をお伝えしていきますので、今年度も本プロジェクトへのご協力とご声援をどうぞよろしくお願いいたします!
■ 播種準備〜厩肥(牛糞堆肥)の散布
2018.10.10
2019年産小麦の播種(種蒔き)準備が始まりました。
牛糞堆肥(正式には厩肥)の散布を開始し、この日は小山に分配まで。これから牛糞堆肥の塊を鉈で砕き細かくしつつ、均して苦土石灰を散布深耕します。
この牛糞を入れる作業は心身ともに大変で・・理由はお察しのとおりです(^-^;
その他、うつぎや畦畔茶(風よけ)の刈り込み、防鳥網取り付け棒の除去等を行いました。
■ 播種準備〜続き(苦土石灰・ようりん散布、トラクターで深耕)
2018.10.21
5反ともなると準備も1日では終わらず、数日に分けて堆肥散布の続き。ここは手作業も多いのでちょっと大変です。
この日は村山うどんの会継承研究所の副会長と手打ちうどん講師のふたりが援農に参加。石川農園主、小麦増産プロジェクトリーダーと4人で作業にあたりました。
特別企画のイベントでなくてもこうして畑に足を運び、援農に携わってくれるメンバーがいるってありがたく、本当にすてきなことです(*^-^*)
■ 基肥入れ
2018.10.29
事前に満遍なく広げて粉砕した牛糞をトラクターで耕耘する事で土に馴染ませ、基肥を入れていきます。石川さんがひとりで、五つの圃場全ての基肥の散布と、ローラーでの整地と鎮圧を行ってくださいました。
ローラーでの鎮圧は昨年から導入した工程なのですが、これが効果絶大で☆
耕耘した畑にローラーをかけて土を鎮圧することで種を撒く地面内の深さが均一になり、生育が安定するとともに収穫作業の精度もあがるのです。
もともと増反後の麦踏みを効率化するために導入したローラーですが、ここでも大活躍!
播種準備はここからもまだ、縄ずり(播種のライン付け)の準備、種もみ、もみ消毒、播種機の整備等の作業があります。
播種はとても大事な工程。今年は会員店が援農してくれる予定なので、スムーズに進むといいなと思います(^_-)
■ 播種(会員店援農会)
2018.11.12
小麦の種を撒き、いよいよ小麦栽培の新しい年度が本格スタートしました!
今年度は昨年度の3反から大幅な増反を行い、当会としては未踏の5反を作付けするので、会員うどん店による援農会も回数を増やしての村山うどんの会小麦栽培となります。
5反になると一気に景色が変わります。
いままで1日で終えられた作業が従来の体制では1日で済まなくなるし、もう絶対的に「全て手作業で」とはいかず、あらゆる工程で機械化が必要となります。それも、メンバーの分業によって作業を効率化するために、物によっては複数台欲しくなる。昨年は収穫援農のためにコンバインを1台増設しましたが、今年はシーダーも1台増設しました。
ということでこの日は一休、村山満月うどん、笑乃讃、青柳、翔の大将・女将たちが定休日を利用して畑に出動☆
農園主の石川さんが事前に整地を行っておいてくださった畑に「縄ずり」をしてライン付けをしたら、シーダー(種蒔き機)で種を撒いていきます。
作付けするのは今年も農林61号。
さらなる品質向上に向けて石川さんが外部からの営農指導を受けつつ研究を重ね、今年は例年よりすこし遅め(昨年より10日遅い)の種蒔きです。
小麦栽培の超ベテランでありながら、「これでいいや」と毎年同じことを繰り返すのではなく、常に上を目指して研鑽を怠らない石川さん、ほんとうにすごい方です。
みんなで石川さんから操縦方法を教わった後、さっそく作業開始。
初めてなので2人1組になり、1人はシーダーを操縦、1人は種がちゃんと落ちているか(詰まることがあるのです)、ラインが曲がっていないかを確認しながら畑の中を何度も往復。
しかしここはすっかり畑に慣れ、これまでに農業機械の扱いを鍛錬してきた会員店さんたち。シーダーの操縦もあっという間にコツを体得し、作業はスムーズに進みます。
畑によっては整地から日が経って雑草がたくさん生えている所もあり、手作業で除草しながらの種蒔きでしたが、無事1日で予定の作業を完了することができました。みんなでやれば早い!
そして今年度の新たなトピックス。おそろいの援農ユニフォームを新調しました!
重労働の畑作業もにぎやかに楽しもう!ということで色は自由チョイスにした結果・・見事バラバラ(笑)の、個性あふれる援農チームとなりました(^_-)-☆
色とりどり華やかなツナギを着て気分もアゲアゲ、今年度も武蔵村山産小麦の増産に向けてメンバー一同がんばって参ります!!
■ 発芽!
2018.11.22
種撒きから10日、一部の畑で芽が出ました!
発芽が遅れている圃場もありますが 地温や日照の影響と思われるものの発芽はしているようなので大きな問題はないと思われます。
まだまだ小さな芽だけれど、姿が見えると小麦の生命力を感じて「こんにちは!今年もよろしくね!!」とうれしくなります(*^-^*)
■ 生育状況の観察
2018.11.27
発芽きから5日、リーダーから畑の写真が届きました!
発芽してすぐはよく目をこらさないとわからないほどでしたが、たった5日でぐんぐん伸びて、小さな小麦たちが整列している様子はもうすっかり畑です(^_-)-☆
■ 生育状況の観察と圃場の整備
2018.12.8
発芽状況の確認をしました。発芽数を調べ肥培管理の指標としています。
また、この日は畦畔(けいはん)茶の整備も行いました。この作業により目視範囲が広がって、圃場の出入が安心になりました(^_-)b
■ 生育状況の観察
2018.12.13
播種から約1ヶ月が経ちました。
寒い中でも麦は元気に育っていて、苗がどんどん伸びる様子を眺めていると元気が出ます(*^-^*)
そろそろ麦踏だなぁ!
■ 麦踏み
2018.12.28
圃場が乾いたので午後から麦踏みを実施しました。
午前中は降りた霜が溶けて土が湿っているので、麦踏みは土が乾く頃を狙って午後から行うのです。畑が5反になって、人がコツコツ踏むのでは間に合わないのでローラーを使っての作業です。
この日は寒波が来ていたのと、風も強かったので特に寒い一日となり、吹きっさらしの畑は陽が高くなっても凍えるように寒く・・踏まれても起き上がる麦のようにがんばらないと!と自らを奮い立たせながらの作業でした。本当に寒かった;;
年内の作業はこれで終わり。
2018年は目標だった5反の作付けを無事に行うことができ、元気に育ってくれた苗の麦踏みをして1年の締めくくりとなりました。
村山うどんの会の小麦増産プロジェクトを取り上げてくださったメディアの方々、ご興味をお持ちくださって畑に足を運んでくださった市民のみなさま、そして小麦作りと村山かてうどんを支えてくださったたくさんのみなさま、お世話になりありがとうございました。
2019年もまた、黄金色になった小麦を収穫し、うどんにしてみなさまにお届けできるようにがんばりたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします!
■ 生育状況の観察
2019.1.15
分けつが始まり株元が広がりました。
追肥を行うかどうかちょっと迷い中。様子を見つつ検討です。
来月は2回目の麦踏みをする予定。ますます寒さが厳しくなりますが、麦たちは元気です!
■ 生育状況の観察
2019.3.12
日中はだいぶ暖かくなり春らしい日々。畑にも芽吹きの季節を感じる元気あふれる景色が広がっています。
圃場の小麦たちは分けつが終わり、3月7日頃から茎立ちが始まりました。
茎立ちというのは主稈長が2cmになること。稈長とは小麦が育っている地表面から穂首のところまでを指します。
ここからの小麦は、横広がりから上への成長に変わっていきます。
日に日に天を目指す小麦。新しいチャレンジにかける我々の気持ちを表しているよう。
近々中耕を行う予定です。
中耕(ちゅうこう)とは小麦の生長期間中に土壌を耕すこと。中耕によって土をやわらかくし、小麦の生長を助けるわけです。がんばれ、小麦たち!
■ 中耕
2019.3.23
先日お伝えしたとおり中耕を行いました。
まだまだ寒いのと、作付面積が増えてひとつひとつの作業にも今までより時間がかかりますが、日々コツコツと作業を進めています!
■ 生育状況の観察
2019.4.12
播種後5ヶ月、桿長が約50cmに成長しました!
■ 出穂
2019.4.22
4月14日に追肥をしてから久しぶりに圃場に向かったら・・あれ!穂が出ている!!
桿長約70cm。まばらですが出穂(しゅっすい)です。わーい(*^-^*)
■ 生育状況の観察
2019.5.10
播種後6ヶ月、桿長は約1mになりました!
実がつくので、そろそろスズメ食害対策(案山子取付等)の準備をします。
■ 案山子の設置
2019.5.19
案山子(鳥追い凧)を取り付けました。
風に乗って舞う鷹形の凧、毎年スズメの食害対策で活躍してくれている強力なサポートメンバーです!
■ 荒天による被害報告
2019.5.22
前日(5月21日)の大雨と強風で麦が倒伏してしまいました・・(涙)
5ヶ所(計5.5反)ある圃場のうち、1ヶ所を除く4ヶ所の圃場が被害を受け、東南の風が強かったことから頭(穂)を北西に向けて倒れていました。
倒伏すると収穫時に上手くコンバインをかけることができず、かといって手刈りをするにはもはや作付面積が広すぎて・・刈り残しが懸念されます。とても残念。
■ 収穫祭「麦秋を喰らう会2019」開催!
2019.6.2
村山うどんの会収穫祭「麦秋を喰らう会」を開催いたしました!
この会は例年会員向けイベントとして開催してきたのですが、今回は初めての試みで一般からの参加も受け付け、当初の定員を大きく超える35名ほどの参加者で大盛況。
小麦の収穫体験のあと野外調理での懇親会で親睦を深め、最後は参加者みんなでお土産野菜を収穫して一日を終えました☆
そうそう。
参加者した会員のケーキ屋さんが作ってきてくださった豊作祝いケーキは本当に感激でした!
とても凝っていて美しく、美味しかったのはもちろんなのですが、作り手さんが込めた思いがいっぱい伝わってきて。食べ物で人を感動させられるってとてもすてきですよね(*^^*)
ご参加くださったみなさま、ご協賛くださった賛助会員様、協力団体様、本当にありがとうございました!
■ 収穫時期の検討
2019.6.5
先日の収穫祭では、開催趣旨が収穫体験ということもあるので一部、なんとかぎりぎり可能そうな部分だけ刈り取りを行いましたが、全体の本格的な収穫は小麦子実の水分量を測って時期を決定します。
今日現在で水分量は35%。刈り取り時水分は25%以下を目標にしていて、天候にも左右されるけれど6月10日頃を予定しています。
前日から当日に雨が降ると小麦が根を張る土壌がぬかるんで刈り取れないので麦刈りは困難になり、そうなるとちょうどいい収穫時期を逃してしまうことにもなるので、梅雨と重なるこの時期の小麦収穫は本当に悩ましい・・(^-^;;
水分量と天候を加味しながら、前日まで気が抜けません。
■ 収穫 〜その1
2019.6.12〜14
3日間かけて、まずは全部で5.5反あるうち、3反分の収穫を終了しました。
村山うどんの会に畑をお貸しくださっている地主の農家さんや、石川農園主の農家仲間のみなさまがお集まりくださって収穫作業は進んでいます。
収穫作業は例年、会員店による援農にて行ってきたのですが、今年は降りやまない雨に見舞われ続けて収穫予定日もやっぱり雨天・・。
会員店の店舗営業や村山うどんの会の他の行事と重なって援農が適わず窮する中、地域のみなさまがボランティアで駆け付け、強力なサポートで助けてくださったのです。
地域の力、本当にありがたいことです。感謝、感謝です。
収穫日により水分量に大差があったため、収穫した麦粒の一部は乾燥機に収容出来ず・・。その分については、晴れ間を利用して天日乾燥を開始しました。筵(むしろ)に広げ、何度も天地返しをしながら丁寧に乾燥させます。
ちなみに収穫祭で収穫した小麦は「青刈り」で水分量が多かったため、束ごと2度天日乾燥しました。それでも脱穀後の水分が多かったため、この分は他の小麦とは分けて単独で乾燥作業をすることに。
収穫体験は武蔵村山産小麦の増産と普及に向けた貴重なコンテンツではあるけれど、企画上早く決定しなければならないながらイベント開催時期を読むのがとても難しく、無理をすると農家さんの手間が増えてしまう。今後の課題でもあります。
そしてもうひとつの懸念点は収穫量。今年の作付けは2反ほど増反したものの、倒伏の影響で最終的には昨年並みの収量になってしまう可能性が・・。
それでもなんとか少しでもたくさん収穫できるように、倒伏した小麦の手起し作業もしました。終始かがんでの作業は体に堪えます;;
赤いつなぎでその作業をがんばっているのはの満月うどんの若女将。援農隊もがんばっています!
■ 収穫 〜その2、からの脱穀、乾燥
2019.6.22
倒伏によりコンバインがかけられずに手刈りした分も含めて、すべての収穫作業が終わりました。地域のたくさんの方々からお力添えいただいたおかげでなんとか乗り切ることができました。
特に倒伏した小麦を起こしながらの手刈り作業は大変な重労働で、ご尽力に心から、心から感謝です。本当にありがとうございました。
手狩りした分の小麦の脱穀(麦粒を棹から外すこと)を済ませ、これから乾燥と選別作業に入ります。
コンバインで収穫した場合は、そのままコンバイン上で脱穀・袋詰めまで自動で行えるのですが、手刈りして束ねておいた小麦については、束ねたまま圃場に立て掛けて自然乾燥した後、脱穀して筵(むしろ)に広げ、天日干しをします。つまり手作業になります。
倒伏(強風などで小麦が倒れること)するということは、それだけ後が大変なのです。
広大に作付けし、完全に機械化している大農場なら倒伏した分の収量が減ることのあきらめもある程度はありきなのですが、我々のように限られた労力で、小さな畑(それでも5.5反は我々にとっては広いのだけれど)で懸命に増産を目指す中では、こういう事態は本当に悲しく、残念なことで。天塩にかけた小麦を、収穫しきれずに畑に置いたまま帰る農家さん、援農チームの気持ちを思うといたたまれません。
今年は成熟が遅く、また霜に加えて強風・大雨など天候不順にも見舞わられた結果、倒伏が多くて収穫作業は困難を極めました。収量も少なくなりました。
人間がどんなにがんばっても、願っても、自然は思うようにはなりません。
目の前で起きる事象や取り巻く環境に即して知恵を絞り、時に苦しい決断をしながら力を尽くす。農業の難しさを改めて実感する、今期の小麦栽培でした。
日々勉強と研究、そしてみんなの協力が欠かせないのだと、しっかり心に刻む2019年でした。
■ 選別作業
2019.7.3
梅雨の合間に、一部の小麦の乾燥後の選別作業をしました。
籾すり機を利用して風選をしています。
■ 製粉
2019.7.8
今年収穫した小麦を使った「村山地粉うどんフェスタ2019」の開催企画が進んでおり、いよいよ小麦を粉にする段階まできました。
本日製粉会社に搬入し、約10日後には小麦粉になって武蔵村山に帰ってきます!
楽しみーー(*^-^*)♪
乾燥作業ですが、今年は梅雨の晴れ間が少なくて今日やっと少し陽があたったという具合。
今日も朝10時頃から15時まで天日干しをしましたが、この分は干しが甘いかなと思って製粉会社さんに連絡をしたところ、先方でご対応いただけることに。
おいしいうどんを作るためには製粉会社さんとの連携も大事なのです。
■ 選別・袋詰め
2019.7.27
乾燥機に収容の子実(約1,200kg)を選別し、袋詰めして保管場所へ搬送しました。
昨年は乾燥機で乾燥した後で天日干しをしたのですが、今年は天候が悪く天日干しはあきらめざるを得なくて・・天日干しをした小麦は味わいが深まってよりおいしくなるのでできないのは残念だけれど、お天道様には勝てません。そのまま袋詰めをすることにしました。
さて、この日の作業ですが、選別して袋詰めとひとことで言うものの、これが35度を超える炎天下での大量の力仕事となれば重労働ぶりは想像を絶する過酷さに・・;;
毎年のことで手慣れた農園主と小麦増産プロジェクトリーダーですが、さすがにこの日の作業は堪えた様子で(^-^;
酷暑の中、本当にお疲れさまでした。頭が下がります。
これで収穫した小麦のすべてについて、これから粉になるための準備が整ったことになります。保管場所の湿度・温度の管理をしつつ、麦粒のまま保管されている小麦を必要に応じて製粉所に搬入し、粉にしてお店に届けていきます。
一方、圃場では、収穫後2回目の耕耘を実施中。
コンバイントレーラーの試運転などを行いつつ、併せて2019年の作付け(2020年収穫)の栽培計画にも着手。近々小麦増産チームで打ち合わせを行う予定です。
その前にはいよいよ「村山地粉うどんフェスタ2019」が開催!
詳細は村山うどんの会ホームページのTOPで告知中なのでぜひご覧くださいませ(^_-)b
■ 村山地粉うどんフェスタ2019
2019.8.10-8.25
武蔵村山産小麦栽培のクライマックスともいえるイベント、回を重ねるごとに話題を呼び大好評の村山うどんの会主催「村山地粉うどんフェスタ」が今年も開催されました!
大切だけれど、守らなければなくなってしまうものがある。
そのための取り組みが、村山うどんの会の「小麦増産プロジェクト」。手打ちうどん教室とともに、会の発足以来取り組んできた文化継承事業のひとつです。
今年収穫した武蔵村山産の小麦を、収穫後丁寧に乾燥・製粉してできた地粉で打つうどん。
参加会員店「一休」「村山満月うどん」「本格手打ちうどん笑乃讃」「肉汁うどん青柳」の店主たちが腕をふるい、ご来店のお客さまたちに期間限定の特別製麺をお楽しみいただきました(*^^*)。
■ 村山地粉パン・洋菓子フェア
2019.8.10-8.25
今年は番外編としてもうひとつの企画をリリースしました。
今期、村山うどんの会では強力粉(主に製パン用に使われる小麦)を作付け・収穫いたしました。うどん用小麦の増産はもちろんなのですが、武蔵村山産小麦の普及と増産を目指す中で、可能性を広げる新たな試みです。
そこで今年、会員が営む洋菓子・パンの店「ラトリエ・アンソレイエ」さんと「石窯パン工房もりのこむぎ」さんの協力により、武蔵村山産小麦で作ったパン・洋菓子をお召し上がりいただくべく、村山地粉うどんフェスタ2019との同時開催にて「地粉パン・洋菓子フェア」を開催する運びとなったのでした☆
武蔵村山では古くからうどん用小麦(中力粉)が栽培されてきましたが、強力粉の生産は他に類を見ない試みでもあり、この機会にぜひみなさまにも新たなおいしさを味わっていただければとの思いを込めて、個性あふれる武蔵村山産強力粉を活かすために店主が何度も試作を重ねた渾身のパンと洋菓子を提供しました。
期間中は両店のお客さまにお喜びいただけたとのことで、今後も村山地粉パンの提供を継続することになっています。
武蔵村山産小麦の新しい可能性と増産につながる取り組み、今後もご注目くださいませ。
■ 村山地粉パン・洋菓子の試食会
2019.8.20
村山うどんの会暑気払いの場を借りて試食会を行いました。
ラトリエ・アンソレイエさんからはケーキを2種、石窯パン工房もりのこむぎさんからはパンを2種ご提供いただき全員でお味見。
どれもとてもおいしくて、パンや洋菓子にも抜群の風味を醸し出す武蔵村山産小麦の可能性を体感する機会となったのでした。
■ 初打ち会
2019.9.1
会員店による新粉を使った「村山地粉うどんフェスタ」を終え、続くは「めんくい教室」の場を使った、村山うどんの会の手打ちうどん講師と受講生たちによる初打ち会。
おたのしみ企画として、今年収穫したばかりの武蔵村山産小麦と、麦粒のまま熟成させた2018年産武蔵村山産小麦の食べ比べや、初作付した硬質小麦「夢かおり」を配合したうどんの試し打ちも交え、うどん人たちが大いにうどんを楽しみました。
特筆すべきは、2018年産小麦が昨年新粉のときに打った時より格段に味わい深く美味しくなっていてびっくりしたこと。今年の新粉もとてもよい出来でおいしいうどんに仕上がったのですが、新粉と並べて打つことで、小麦は熟成して味が変わることをわかりやすく体感するよい機会となりました。
■ 2019年産小麦栽培の総括
2018年11月に播種(はしゅ)し、2019年6月に収穫した村山うどんの会による武蔵村山産小麦の総括は下記の通りとなりました。
・総作付面積:5,021u
・総収穫量(麦粒):1,802kg(うどん用在来種1,543kg、171号(夢かおり)259kg)
・製粉した小麦粉の量(算出による概算値):約1,260kg ※歩留率70%で算出
・10a当たり収穫量:約358kg ※参考:東京都の基準収穫量は400kg
小麦の増産にはふたつの視点があります。
ひとつは作付面積を増やす増反(ぞうたん)をすること、そしてもうひとつは1反あたりの収穫量を増やすこと。
前年度に引き続き今回も、村山うどんの会ではその両面を兼ね合わせて増産に取り組みました。
増反については前年の3反から5反とすることで、現在保有している農作業用の機械と稼働人員としては限界までチャレンジを行いました。
2反増えると作業量の多い工程では単純に作業日数が増えるので、兼業でのボランティア援農者に頼る現状ではオーバーワークとなり、また保有している農業機械で一度にこなせる物量からも想定以上の負荷がかかりました。
最終的には村山うどんの会会員うどん店全店で通年に渡って武蔵村山産小麦を使ったうどんを提供することが目標であることを考えると、今後の援農者の増員確保は必須の課題です。
1反あたりの収穫量についてなのですが、増反したものの収量は減じるという、想定外の結果となりました。主な要因は天候によるものが大きく、収穫直前に見舞われた暴風雨の影響で多くの小麦が倒伏(麦が倒れること)し、コンバインで無駄なく刈り取ることができませんでした。
大規模農園では、倒伏させないためにまだ青みが残るうちに刈り取るという手法も行われているそうですが、我々はよりおいしいうどんを作るための品質にこだわり、畑の土の上で十分に育つまで待つことにしています。
これは、麦の穂に立派な実がつき、よく育った分だけ頭(穂先)が重くなるので倒伏もしやすくなるということでもあります。
この兼ね合いを考えつつ、次年度の作付けと栽培を行う必要がありそうです。
なによりも。
日々畑に出向き、丹精込めて小麦を育ててきた石川農園主とプロジェクトリーダーにとっては殊更悔しい思いを持つ結果でもあったと思います。
自然には勝てない。援農する我々にとって、これが農業なのだということを強く実感する2019年産武蔵村山産小麦栽培でした。
日々、年々学びをもたらせてくれるこのプロジェクトを、これからも大事に守り、進めていきたいと思います。
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2019年産小麦の栽培レポートをお読みくださってありがとうございました。
今年度は当会としては未踏の5反作付けに挑戦し、苦労もありつつ、製粉して商品にすることができました!
小麦増産レポートはこれから2020年産小麦栽培へと展開します。引き続きお楽しみください(^_-)b
↓↓↓ 小麦栽培の1年が分かる!2018年産小麦レポートはこちらから ↓↓↓
小麦増産プロジェクト/2018年産活動報告【前編】
小麦増産プロジェクト/2018年産活動報告【後編】